憧れ
「あーあ、お兄ちゃんのいる人生ってどんなんだったんだろう」ってたまに考える。
厳密に言うとわたしにはお兄ちゃんがいるのだ。
生まれてくるときにへその緒が絡まって、死んじゃったんだよ。
母にそう伝えられたことがあるけれど、それ以上の詳しいことは知らない。
水子供養をしているお寺には、母と一緒に数回だけ行ったことがある。
家族の誰にもなんにも言わずに、一人で抱えて一人で毎年行ってるのかもしれない。
初めてそのお寺に連れて行ってもらったとき、お兄ちゃんと呼べる人に生きていてほしかった。と思ったけれど、生きてはいない。
だからわたしが生きるんだ。と思ったりして。
自分の責任の範囲をどこまでも広げていくのはわたしの癖です。
小学生のとき、年下の子どもたちに囲まれて過ごすことが多かったんですけど、その子たちにはちょっと年の離れた「お兄ちゃん、お姉ちゃん」がいたんです。
そのころから憧れ。
わたしも誰かのことをそんな風に呼んでみたい。
たまに長女をやめたくなります。